健康な体を保つために「運動すること」が重要であることは、誰もが知っていることだと思います。
2023年に厚生労働省から発表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」にもあるように、
身体活動及び運動を行うことは健康増進効果が得られます。
病気の予防であったり、足腰を強く保つためにといった理由で、
最近では手軽なジムに行って運動をされていたり、買い物や通勤などで歩くことを心掛けるといった方も多くなってきたと思います。
そんな中、
がん患者にとっての運動についても有効であるということが証明されてきています。
がんサバイバーのための運動ガイドライン
2022年に「米国がん協会のがんサバイバーのための栄養および身体活動ガイドライン」[1] で発表されており、がん治療中の運動は、不安、抑うつ、身体機能、リンパ浮腫など、いくつかのがんの副作用の管理について十分な効果のエビデンスが得られています。
また、他の症状や副作用の管理についても、さらなるエビデンスが必要であるといわれていますが、運動効果はこれから立証されていくことでしょう。
具体的な身体活動としては、
・有酸素運動、レジスタンストレーニング、またはその両方の組み合わせがよい
・1週間あたり150分以上の中等度の有酸素運動
・週2~3日(1日おき)の上半身・下半身の大きな筋肉を中心とした筋力トレーニングとストレッチ
中等度の有酸素運動とは、「ややきついな」と感じる程度の運動です。
がん診断後の運動と死亡率について
前立腺がん、肺がん、結腸直腸がん、および卵巣がんのがん患者を対象にした研究[2]で、基準レベルの運動をしたがん患者は、運動しなかったがん患者と比べて、25%死亡リスクが下がったという結果がでているそうです。
適切な運動を行うことが、がん患者にとって重要である根拠があらわされた研究結果でこれは、がん患者が運動をするためのモチベーションを上げるのに十分な結果が出たと思います。
がん患者に対する運動指導の現場では
ほとんどの患者さんが「がんになって体力がおちた」とおっしゃいます。がんまたはがん治療において、心身ともに負荷がかかり、日常生活もままならないこともあります。
今までの生活ができないことによる体力の低下、治療による体力の消耗。それらから、自分らしい生活をとりもどすために「運動」をすることが不可欠と感じます。がん患者一人ひとりお体の状態は違います。
「がん治療中に体力を落とさないため」、「職場復帰のため」、「旅行に行くため」「家族を安心させたい」など体力を上げたい理由も様々です。その方に合わせた運動の種類、強度、頻度、時間で行うことが、体力回復の近道になります。
がん専門運動指導士は、そんな一人ひとりの状態を把握しつつ、安全で効果的な運動を提供できる運動指導者です。
ぜひお任せください。
この記事での引用
1.Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.
2.Lavery JA, et al. J Clin Oncol. 2023 Aug 31.