こんにちは!がんサバイバーさんの健康をサポートするべく日々奮闘中の大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士&乳がんサバイバー、そしてうごきゃん(動こう★キャンサー)スタッフの川瀬ひとみです。
去る6月28日、乳がんサバイバーの皆様に向けたオンラインセミナー「今日から変わる私の習慣」DAY2を開催いたしました!
当日は、地元関西エリアだけでなく、全国各地からたくさんのサバイバーの方々が画面越しに集まってくださいました。
「同じ経験や悩みを共有できる仲間がいるんだ」と感じられる、温かく心強い空気感に満ちた時間となりました。お忙しい中、大切な時間を使ってご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
乳がんの治療中や術後は、ホルモン療法の副作用による体重増加、気分の浮き沈み、体力の低下、そして「これからどんな生活を送ればいいのだろう」という不安など、心と体に様々な変化が訪れます。
今回のセミナーでは、そんな皆様のこれからの毎日に寄り添い、確かな安心をお届けするために、健康的に体重コントロールをするための土台となる「栄養」と「睡眠」をテーマに、専門的な知識を分かりやすくギュッと凝縮してお伝えしました。
第1部:栄養セミナー「食べながら整えるための講座・実践編」
今回も、がん病態栄養専門管理栄養士の曹さんにお話しいただきました。
「なぜ太りやすくなるのか?」を踏まえ、今回は「じゃあ、具体的に毎日の食事をどう変えればいいの?」という疑問に徹底的にお答えする内容です。サバイバーの皆様の体力を落とさず、健康的に、そしてリバウンドなくキレイに痩せるための具体的な実践ステップを解説してくださいました。
せっかくなので、いくつか紹介したいと思います。
1. いただきますの瞬間に!「指差し確認」でバランスチェック
健康的に痩せるための基本は、食卓に「主食・タンパク質・野菜」の3つが揃っていること。これらが揃うと、自然と理想的な栄養バランス(PFCバランス)が整います。 セミナーでは写真を見ながら、みんなで「指差し確認」の練習をしました。
例えば、一見カロリーが高くてダイエットに向かなそうな「海鮮焼きそば」。実は、中華麺(主食)、エビ・イカ・豚肉(タンパク質)、そしてたっぷりの野菜が1皿に揃っているため、具材の量さえ意識すれば「ものすごくバランスの取れた優秀な一品」になります!「ラーメンや焼きそばは絶対ダメ」と極端に禁止する必要はなく、単品メニューでもこの3つが揃っているか確認すればOK。一汁三菜をきっちり作る必要はないとお伝えし、皆様の肩の荷がふっと軽くなったようでした。

2. 賢く楽しむおやつの選び方とタイミング
おやつは決して禁止ではありませんが、賢い分類とタイミングが鍵になります。
- 低エネルギーおやつ:ヨーグルトや果物、こんにゃくゼリー、最近充実しているローカーボ(低糖質)スイーツを活用。
- 高エネルギーおやつ:ケーキやポテトチップス、チョコレート、アイスなど。これらは脂質が多く血糖値を急上昇させます。
食べるなら、寝ている間に脂肪として蓄積されやすい「夜」ではなく「日中」に。また、食事の直後に食べて次の食事までしっかりお腹を空かせることで、血糖値がきちんと下がるメリハリのある状態を作るのが理想的なタイミングです。
3. 体調が優れない日でも続けられる、市販品・お惣菜の活用術
副作用や体調の波で料理を作る元気がない時は、コンビニやスーパーのお惣菜を頼って全く問題ありません。
ただ、市販品は「塩分が高め」になりがち。パッケージの裏面を見て塩分が少ない方を選んだり、同じ系統のお惣菜ばかりを組み合わせず、「メイン+野菜」の組み合わせを意識するなどの実践的なコツをお伝えしました。

【第2部】睡眠セミナー「睡眠と痩せやすさの関係」
後半は、ダイエットを成功させるための隠れた主役、「睡眠」にスポットを当てました。
多くのサバイバーの皆様が、治療への不安感やストレスなどからくる不眠に悩まされています。実はこの睡眠不足こそが、乳がんサバイバーの体が「太りやすく、痩せにくくなる」大きな原因の一つなのです。
1. なぜ睡眠不足だと太る?「グレリンがグレる?」
睡眠が乱れると、体の中では食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れてしまいます。
- 満腹ホルモン(レプチン)が減少:「もうお腹いっぱい」というブレーキが出にくくなります。
- 空腹ホルモン(グレリン)が増加:睡眠時間が5時間になると、8時間睡眠の人に比べて「もっと食べて!」というグレリンが約15%も増えてしまいます。
セミナーでは「睡眠不足になると、グレリンが“グレちゃって”暴走するんです!」とお話しし、皆さん大笑い。
さらに脳の「前頭前野」の働きが鈍ることで、手っ取り早くカロリーが摂れる甘いものや高カロリーなものを脳が欲してしまう、というからくりを解説しました。
2. 深い眠りで「脂肪を分解する成長ホルモン」を味方に
睡眠中には、筋肉を育て、細胞を修復し、脂肪を分解してくれる「成長ホルモン」が分泌されます。このホルモンは「眠り始めの最初の90分」の深い睡眠のときに最も多く分泌されます。「夜10時から2時に寝ないと分泌されない」という噂は実は迷信で、何時に寝ても「いかに深く眠れるか」が大切です。
3. 今夜からできる!心地よい眠りを叶える睡眠習慣
少しでも深く眠り、リラックスするためのアプローチをいくつかご紹介しました。
- 夜のデジタルデトックス:寝る前にスマホやパソコンのブルーライトを浴びると交感神経が優位になってしまうため、ゆったり過ごして副交感神経を優位にすること。
- 入眠儀式:パジャマに着替える、歯を磨くなど、「今から眠るよ」というサインを脳に送る習慣を作ること。
- 考え事はメモに書く:布団に入ってあれこれ考えてしまう時は、一度起きてメモに全て書き殴るのがおすすめ!「今すぐ考えるべきか、急がないか」を客観的に判断し、急がないなら「メモに書いたから明日考えよう」と脳を安心させてあげてください。(どうしても眠れない時は、あえて難しい専門書を読むと脳が疲れて眠くなりやすいという裏技も!)
- 香りの効果:ラベンダーのアロマは、深い睡眠を増やして熟眠感を高めるというデータもあり、とてもおすすめです。

4. 三日坊主で終わらせない!ダイエットと習慣を「継続するポイント」
セミナーの後半では、「栄養」と「睡眠」、そしてDAY1で学んだ「運動」を生活に定着させるための【継続のコツ】をお話ししました。
- 「小さな一歩」から始める:いきなり完璧を目指さず、「まずは朝起きてカーテンを開けるだけ」「いただきますの時に主食・タンパク質・野菜があるか指差し確認するだけ」など、ハードルを極限まで下げる。
- 体調を最優先にする:サバイバーの体調には波があります。「できない日があっても当たり前」と捉え、お休みする自分を責めない。
- 仕組み化する:意志の力に頼らず、歯磨きなど元々のルーティンにくっつけて習慣化する。

最後に「自分のために何をしてみようと思いますか?」と皆さんに問いかけてみました。
「5分間のストレッチ」「15分早く寝る」「野菜を摂ることを意識する」などなど具体的な答えが返ってきました。
一歩ずつ、ご自身のペースで治療中や治療後の体づくりは、決して「満点」を目指す必要はありません。ご自身の体調を最優先にしながら、「今日はこれを試してみようかな」と、できることから一つずつ日常に落とし込んでみてくださいね。まずは、毎日がんばっているご自身を、たくさん労って、たっぷり褒めてあげてください。
当日の様子(ダイジェスト動画)を公開中!
「どんな雰囲気か見てみたい」という方のために、当日の栄養&睡眠セミナーの様子をぎゅっと凝縮したダイジェスト動画(約15分)をYouTubeにて公開しています。
分かりやすい解説や、今日から実践できるヒントが詰まっていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「やり方は分かったけれど、自分一人で続けられるか不安……」という方へ
今回学んだ内容をしっかり定着させ、仲間と一緒に支え合いながら進められる伴走型スクール「リカバリーダイエットラボスクール」も開催しています。
一人で抱え込まず、一歩一歩確実に変わりたい方は、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
一人でも多くの方に正しい情報をお届けしたいと思っていますので、こちらのセミナーは定期的に開催しています。
次回は、9月に開催予定です!
改めて、ご参加いただいた全国の皆様、本当にありがとうございました!
皆様のこれからの毎日が、より健やかで穏やかなものでありますように。

